隣接専門職との連携


各分野の専門職と連携してゴールを目指します。

 「士業」と呼ばれる専門職には、それぞれの法律で規定された専門分野があり、専門外のご依頼に対しては、業務分野が隣接する専門職の力を借りなければなりません。ひとつのご依頼に対して、各専門職が相互にその知識・技能を補完し合いながら、いわばチームのように協働することが頻繁に行われています。

  

<連携の典型的な例>

1.土地家屋調査士との連携

 土地家屋調査士は、司法書士と最も近い関係にある専門職と言ってよいかもしれません。両者はともに「登記」を専門分野としています。ただし、扱う事柄が異なります。司法書士が「権利の登記」(土地や建物の所有者や各種権利の内容等を記録する)を扱うのに対して、土地家屋調査士は「表示の登記」(土地の広さや用途、建物の構造や床面積等を記録する)を扱います。

 例えば、相続が発生した際に、被相続人名義の土地について、相続人名義に変更する登記手続きの代理をすることができるのは司法書士ですが、すでに解体されている被相続人名義の建物の登記があることが判明した場合は、土地家屋調査士に建物の滅失登記の手続きをお願いすることになります。この他、土地家屋調査士は、測量技術を要する土地の分筆登記や建物の表題登記等も扱っています。 

 

2.税理士との連携

 税理士は、税についての専門職です。売買・贈与等の取引行為や相続・遺言(遺贈)等にともなう権利の移動には、必ずと言ってよいほど税金の問題が付いて回ります。税制はとても細かい上に、改正も頻繁に行われます。司法書士も制度の概略は把握していますが、具体的なケースにおいて、いくら税金が発生するのか、また、税の軽減措置を受けるための要件を満たしているのかの判断はできません。

 そんなとき、的確なアドバイスをもらえるのが税理士です。取引や契約をした後に、「こんなに税金がかかるなんて知らなかった」、「賢く節税する方法があったなら活用すべきだった」と後悔しても手遅れです。そうなる前に、司法書士は、登記をする方法や遺言の書き方に複数の選択肢があると判断する場合は、税理士と連携して、税金面からの検討も行っています。

 

3.行政書士との連携 

 行政書士は、官公署(国、都道府県、市町村)に提出する書類を作成する専門職です。特に、許認可(許可・認可・届出等)申請業務は、行政書士の独壇場です。行政機関が行う許認可には、ビジネス上のものから市民の日常生活に関するものまで、とても多くの種類があります。

 司法書士業務と関連が深いものとしては、例えば、田や畑といった農地を売買・贈与して登記の名義を変更しようとする場合があります。農地は、国民の「食」にとって欠かせない土地であり、農地法という法律により、取引に際して、農業委員会等の許可を要する仕組みになっています。この「許可(書)」なしでは登記手続きができません。

 そんなとき、頼りになるのが行政書士です。司法書士は許認可の手続きに関与できないため、信頼できる行政書士に「農地法所定の許可」をとってもらい、その許可書を登記手続きの添付書面として使用します。この他、行政書士が得意とする許認可業務には、建設業の許可申請、古物商の許可申請等があります。

 

 上記の連携例以外にも、司法書士の業務範囲を超える訴訟問題が発生した場合は弁護士土地・建物の鑑定が必要なときには不動産鑑定士に、といったように隣接専門職と連携してゴールを目指します。