相続放棄関係手続


相続放棄の申述

相続関係から完全に離脱します。

1.手続きの趣旨

 被相続人の債権債務一切を放棄する家庭裁判所における手続きです。相続人間で行う遺産分割協議の中で、単に何も遺産をもらわないという意思表示をするだけでは、相続放棄することにはなりません。

 

2.どういうときにするものか

 被相続人に借金等の負債があり、相続財産(預貯金・不動産等)の範囲内では、その債務を返済しきれないときにするのが代表例です。しかし、必ずしも被相続人の財産状況が債務超過であることは要件ではなく、例えば、相続人同士が疎遠で遺産分割協議ができない、または協議に参加したくない、自分は生活に困っていないので遺産を相続する必要はないといった理由で放棄することも可能です。

 

3.手続きの流れ

 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、相続放棄申述書と添付書類を提出します。後日、裁判所から放棄の理由等を問う『照会書』が送られてきますので、回答を記載して返送します。審査を経て認められると『相続放棄申述受理通知書』が届き完了です。

 

4.手続きに要する費用

 主な費用に次のものがあります。

(1)申立手数料

 収入印紙代 800円 / 一人あたり

(2)戸籍謄本代 

 戸籍の種類によって一通あたり450円、750円などです。

 

5.手続完了の効果

 当該被相続人の相続について初めから相続人でなかったものとみなされます。したがって、例えば、被相続人の債権者から借金の返済を要求されたとしても、まったく応じる必要はありません。ただ、この際、債権者の求めに応じて、相続放棄申述受理証明書等の相続放棄をしたことを証明できるものを提示・提出する必要はあります。

 

6.司法書士のサポート内容

(1)戸籍謄本類の収集

(2)相続関係の確認・整理

(3)相続放棄申述書の作成

(4)申述書・添付書類の提出

(5)家庭裁判所からの照会(書)に対する回答方法の助言(

家庭裁判所への照会書の返送・電話でのやり取りは、司法書士が代理できませんので、依頼者様ご自身で行っていただくことになります。

 

7.司法書士報酬

 お一人あたりの基本報酬額は次のとおりです。

(1)被相続人の子が放棄する場合    ¥33,000円(税込)

(2)被相続人の父母が放棄する場合   ¥44,000円(税込)

(3)被相続人の兄弟姉妹が放棄する場合 ¥55,000円(税込)

配偶者が放棄する場合は、上記(1)~(3)の各区分に従った報酬額になります。

上記の各区分に当てはまる場合であっても、事案によって報酬額が増減することがあります。

同一の相続関係で複数の相続人の方から同時にご依頼を頂いた場合は、お一人当たりの報酬単価を減額します。

 

8.注意点

(1)相続放棄の申述には期間制限があります。原則として、相続の開始を「知って」から3か月以内に手続きをする必要があります。

(2)相続放棄の申述は必ず認められるとは限りません。ただし、要件が整っていれば高い確率で認められます。

(3)相続の開始を知って3か月を超えてしまった場合の相続放棄の申述も不可能ではありませんが、認められる確率が下がります。なお、作成する書類が通常よりも増えるため、報酬額は上記7の額に加算させていただきますのでご了承ください。

(4)少々専門的な話ですが、相続放棄の申述が受理されても、それはあくまで当該申述が適式になされたことを公証するものであって、実体的な権利関係を終局的に確定させるものではないとされています。

 したがって、相続放棄の申述が受理された後、利害関係人から当該申述は無効であるとの主張が提起され、放棄の効果が覆される可能性もゼロではありません。  

 


相続放棄の申述の有無の照会

先順位相続人が相続放棄しているのか確認できます。

1.手続きの趣旨

 被相続人の先順位相続人が相続放棄をした場合、相続権は後順位の相続人に回ってきます。例えば、第1順位の相続人である被相続人の子(や孫)の全員が相続放棄すると、相続権は第2順位の相続人である被相続人の父母(や祖父母)に回り、これらの方々全員がすでに亡くなっていたり、相続放棄をしたりすると、相続権は第3順位の相続人である兄弟姉妹(やその子)に回ってきます。先順位の相続人が相続放棄をしたかどうかは、後順位相続人にとっては大きな関心事です。そこで、先順位相続人の相続放棄の申述の有無を照会する手続きが認められています。

 

2.費用・司法書士報酬等

 上記「相続放棄の申述」の該当項目をご参照ください。司法書士のサポート内容や報酬額等はそちらに準じております(家庭裁判所に納める照会手数料は無料です)。

この照会の手続をご依頼をいただき、先順位相続人が相続放棄の申述をしたことが分かった場合において、相続放棄の申述手続きをご依頼いただくときは、報酬を一部減額します。 

 

相続放棄の申述の期間伸長の申立て

相続放棄するかの判断に時間が必要なとき。

1.手続きの趣旨

 相続放棄の申述は、原則として、相続開始を「知って」から3か月以内にしなければならないという期間制限があります。ただし、様々な理由によって、期間内に手続きをすることが難しい場合、期間を延ばしてもらうよう裁判所に申し立てることができます。

 

2.費用・司法書士報酬等

 上記「相続放棄の申述」の該当項目をご参照ください。司法書士のサポート内容や報酬額等はそちらに準じております。

この期間伸長の申し立ての手続きをご依頼をいただき、後日、伸長された期間内に相続放棄の申述手続きをご依頼いただくときは、報酬を一部減額します。